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ジョン・スティーヴンスの音楽思想を反映した音楽の演奏アプローチ「フレームワーク」をそのままタイトルとしたＣＤ。70年前後に行われた、メンバーの異なる３つのパフォーマンスから構成されている。 音響それぞれの関係性から生まれる音楽の構造は、スコアに書き込まれた作曲であれば具象は容易に可能であり、また、即興演奏を含むものでも、演奏者同士に構造に関する予め共有された認識があればまた可能である。しかし、それぞれの演奏者が生み出す音響素材自体が共有され得ぬものであり、しかし音響そのものは構造を生むような自由度の高い即興の場合、各個人が求め構造に対しての画一性は無い為に、構造（少なくとも、構造性を意図的に作り上げている音楽と同程度の機能を果たしうるそれ）の提示は、容易ではない。 　ジョン・スティーヴンスの音楽の特徴は、現象面でいうと即興性と明確な構造の２点は非常に目立つ。ここには、彼が音楽のうちに即興の有効性と構造がもたらす音楽的機能の双方を認めていたという事であると思う。この双方を活かすにあたって、構造のフレームを大枠で作ったうえで即興演奏によって音響を組み上げていくという方法は、現実に採択しうる、且つ効果が期待できる方法論である。 演奏の重要性を認めながら作曲と演奏の分業から離れられない状況に、あるいは音響の要素が楽音によって構成されていないと音響構造を理解できない状況に疑問を感じている人は少なくないだろう。しかしそれを理念に逃がさず、具体的な強い音響、あるいは音響構造を組み上げられない例も多い。S.M.E は60年代以降にヨーロッパで起こったフリー・インプロヴィゼーションの中では、数少ない構造性とその実現を示し得た。（近藤秀秋）