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90年代後半にエヴァン パーカー Evan Parker がオーガナイズした、弦楽器とエレクトロニクスの為の即興セッションを収録した３枚組ＣＤ。その内容から、パーカー自身の演奏は一部に限られている。イギリスのフリー即興シーンは、その音楽的動機からして音楽要素の見直しとその再構築という前提に（結果として）立っており、そこから楽器の歴史的／文化的符合との切り離しという局面が派生している。80年代のISKRA1903や、電子音楽寄りの音楽に接する機会のあったパーカーが徐々に自身の音楽にエレクトロニクスを導入していく動機づけのひとつはここにあっただろう。解体的オーケストレーションという、言葉のうえでは矛盾を孕んでいるように見えるこのオーケストラ、音の上では動機そのものがそのまま現象して音塊を作るという状況を記録している。その意味で、アンイディオマティックな部位の上で演奏を積み重ねる即興音楽の本質を考えるにあたって、絶好の音源である。　（近藤秀秋）