2013年東京、白熱のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ。

　ピアニスト住友郁治のサード・アルバム。2013年4月、東京文化会館で行われたリサイタルのコンサート録音盤。
　住友郁治は、91年にNHK-FMにてデビューしたピアニスト。矢田部賞（91）、国際リストコンクール入選（92/イタリア）、朝日新聞社主催新人コンクール大賞（92）、クロイツァー賞（93）などの受賞歴のほか、ヤングプラハ国際音楽祭の日本代表ピアニスト（93/チェコ）など、世界でも一定の評価を受けている。
　ベートーヴェンの作品集となった本作では、「悲愴」「月光」「熱情」という3大ソナタに加え、アンコールで演奏された「エリーゼのために」を収録。ベヒシュタインD-282と住友という組み合わせが生み出す骨太なサウンド、数多ある３大ピアノソナタの録音の中でも特にホールのアコースティックの活かされたコンサート録音、ベートーヴェン特有の重層的な楽曲構造をストレートに構造化するピアニストのアナリーゼ。これらが重なり、重厚なグラーヴェから始まる「悲愴」から、リサイタルのクライマックスとなった燃焼度の高い「熱情」までを一気に駆け抜ける。