たゆたう音の構造化、あるいは西洋音楽の内破。名トリオ「コンテスト・オブ・プレジャー」第２幕。
　ジョン・ブッチャー(sax)、ザビア・シャルル(cl)、アクセル・ドナー(tp) の管楽器奏者によるトリオは、２０0０年に仏ポトラッチ・レーベルより「コンテスト・オブ・プレジャー」を発表している。即興音楽の文脈上で、サウンドイメージを中心に音楽を構成したこのトリオの演奏は、その時代の音楽の一傾向を見事に表したものであった。そのトリオ演奏を切掛にグループ名自体を「コンテスト・オブ・プレジャー」としたこの第２作は、エンジニアのロラン・サッシによる大胆な編集を含め、即興であることは既に音響発生の手法の位置に徹底されており、このグループがセッションではなく、独立した音楽理念を実現するコンセプトにまで昇華されていることを示す。演奏の方位は既に躍動を追わず、恍惚ともいえるような状態を作り出す。管楽器トリオとしてまったく新しい音楽。