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「本作は、 SIWAから「豊住芳三郎と EXIAS-Jの共演作を」との依頼からリリースが実現した。ちょうどその頃、 EXIAS-Jはダンス・映像・音楽による作品の創作にとりかかっていたところで、そこに豊住も加わっていたのだった。このプロジェクト・作品は、ロシア、リトアニア公演として披露されることになる。ここでの成果は、リーダーである近藤秀秋の理念の多くを具体化出来た。この公演の音楽のパートのハイライトを用いてアルバム化する案が出たが、録音状態に難があって実現に至らなかったようだ。そして、それはスタジオでのレコーディングへとなって行った。だが、問題が起こる。これら一連の演奏は Electric Conception( 02,03年と2枚のCDが、このコンセプトの元リリースされている。“ avant-garde”と ”balance of chaos”)と呼ばれるものだが、それはスタジオの環境では表現しにくいものだった。「音の統合と分離の境界域の現象」と近藤が呼ぶ響きを軸に展開する創作技法はここでは実現は困難と判断したようだ。近藤の理念が実際にはどう言うものなのかは、その現場に立ち会う事が困難な我々には判断しづらい。聴き手は、このアルバムに収められた音楽・演奏を受け取るしかない。さて、受け取った側とすれば、ここでの演奏は、現代の即興演奏の理想的な形を提示してくれたと喝采を送りたい気分だ。豊住の前作「 Sublimation」を静とすれば、こちらは動。近藤と谷川卓生のエレクトリック・ギター。神田晋一郎の強靭かつ繊細なピアノ。宮崎哲也のライヴ・エレクトロニクス。河崎純のベース。ゲストで、入間川正美のチェロ。狩俣道夫のサックスとフルート。浅井祐一のトロンボーンも曲によって加わる。そしてなにより、豊住芳三郎だ。エレクトリックでノイジーな音響の渦の中心に構えて、ある時は攻撃的に、ある時は繊細に、全体像を把握しながらサウンド・デザインを描いて行く。彼は、高柳昌行・ニュー・ディレクションとして演奏した日々を思い出したのではないだろうか。」(末冨健夫、「chap chap music」LP/CD review vol.11)