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フォンテックから発売された、一柳慧の作品集第２集。打楽器に関連する作品が集められている。本作のライナーで、一柳は自作の打楽器曲に関して以下のようなことを述べている。 　 「1957年、シュトックハウゼンのチクルスによって打楽器は西洋音楽で初めて独奏楽器としての地位を確立した～そこでは様々な楽器が演奏家を取り囲み、超絶技巧的に、また即興的に演奏され、それが時代の趨勢となり、飽和状態を迎えた～其れに対し、私は即興の要素を排し、かつ楽器をひとつに絞る事によってこの打楽器作の書法の趨勢から脱却できるのではないかと考えた」 　 この言葉が、一柳の打楽器作品が持つ内部構造重視の傾向を説明できているのかも知れない。本ＣＤに収められた５作品は、いずれも10分前後からなるが、これは楽曲上に展開を含む時間構成を与えると最初に目安になる時間帯だろう。一柳の作品は展開部を伴うことが常であるので、この時間は最短時間と言える（ここには、全曲が委嘱作であるという事などの関節因も関係しているのかも知れないが）。「森の肖像」「風の軌跡」「源流」といった鍵盤打楽器作では、主に調組織内部の構成より作品を組み上げた印象が強く、演奏家寄りの視点を感じる。ピアノ、ヴァイオリン、打楽器のための「トリオ・インターリンク」は、各楽器の関係性を入れ変えていく構造が面白い。　（近藤秀秋）