1962年からコルトレーン・グループはレジー・ワークマンと入れ替えにジミー・ギャリソンが入団し、ここにジャズ期のコルトレーン/タイナー/ギャリソン/ジョーンズの黄金カルテットが誕生する。本作はその初作で、以降不動のメンバーは65年まで続くことになる。第1曲"out of this world" はこの後のコルトレーン・カルテットの音楽の要素が須く込められた演奏システムを持っており、ジャズ的な和声進行はコーラスの最後部に出て来てドミナント・モーションに帰属する楽曲の心地良さを保つ程度で、そこに行き着くまでのプレイは小節や調的重力から相当に自由な状況で徐々に楽曲を組み立てていくようなモチーフ展開的で肉声的な演奏を可能にしている。以降はバラード、モード、ブルースの発展とアルバムは続くが、その様が62年時点までのコルトレーンの音楽語法の総括だ。同時に長尺な演奏没入型のソロパートから全体を徐々に塑像していくような演奏に対する意識の置き方などは、今後のこのカルテットが向っていくエモーショナルな表現としての演奏指向が露骨であり、このふたつが同居したものとして面白い。また、録音が風変わりで、サックスが左、ピアノとベースがセンター、ドラムが右にパンされているのだが、これはどのような意図だろうか(因みに、渡辺貞男のアルバム『家路』の中の曲にも似たようなパンニングを施された曲がある)。この時期あたりになるとコルトレーンのプレイはイデアたるスケールや無数のモチーフの徒な組み合わせからはとうに消化し、それらを表現として使い切れている点が本当に素晴らしい。(近藤秀秋)
商品詳細
仕様
CD 国内版 20bit スーパー・コーディング
レーベル
Impulse
録音
1962年
(作曲)
(演奏)
ジョン・コルトレーン・カルテット
ジョン・コルトレーン John Coltrane(sax)
マッコイ・タイナー McCoy Tyner(pf)
ジミー・ギャリソン Jimmy Garrison(b)
エルヴィン・ジョーンズ Elvin Jones(dr)