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現在、即興演奏のフィールドにあって、ソロによる活動を継続していくことは、殆ど不可能に近い行為である。ほんの一部の人々（彼らとて決して恵まれた状況下にある訳ではない）を除いて、そうした企画はいわゆるライヴハウスなどでは滅多に行われないし、辛うじて場所を見つけたとしても、創造的・経済的な困難はついてまわる。その困難に、殆どそれが己の業であるかの如くこだわり続けたのが故・高柳昌行であり、その資質は彼の直系のギタリストとして殆ど唯一の存在といえるこのCDの作者、今井和雄にも過酷なまでに受け継がれている。ヴィオラ・ダ・ガンバとガット・ギターによるソロ・インプロヴィゼーションは、師の影響をストレートに反映してはいるが、より構造的であり、その指向はひとつひとつの音を解体し分析する方向へ向けられているように思われる。実際、これは現在の日本では作品化されること自体が稀となってしまった、純正のフリー・インプロヴィゼーションだ。ジャズの尻尾はここでは殆ど痕跡程度しかのこっていない。（沖楯男　「G-Modern」vol.10）