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2人の邂逅から、もう25年にわたる歳月が過ぎ去ろうとしているという事実は、何よりもこの作品に深みと、私のようなものの気軽な論評を退ける荘厳さを与えている。ともにベースによるソロ・インプロヴィゼーションのイノヴェーターとして、何度かの共演を経験しながらも、音盤の上では今まで交わることのなかった2人が、ついに発表することになったのが本作である。25年という歳月は、吉沢をアコースティック・ベースから遠ざけ、幾つかのソロ作品を生み出しもしたのだが、ここで文字通りのソウル・ブラザーとも言うべきバールの協力を得て、再び "私達が知っている吉沢元治" の領域に足を踏み入れたようである。それが後退ではなく大いなる前進であることは、語り合いながら時には反撥さえも表現のひとつとしてしまう両者の語法が証明している。そして、言うまでもなく老師バール・フィリップス（実際には吉沢の方が年長なのだが）の手は優しく、暖かい。必聴。　（沖楯男 『G-Modern』vol.11）