2004年度に実現した、高瀬アキと三宅榛名の2台ピアノによるコンサートツアーのうち、9月24日・静岡青嶋ホールで行われたもののCD化作品。長尺の演奏はなく、基本的にワンアイデアで1曲といった趣の全12曲で構成されている。
基本的に2台ピアノの演奏だが、1曲のみ1台4手ピアノの演奏が含まれる。三宅榛名はALM Records より多くの作品を発表しており、そこでは作曲性の強い非常に理知性を優先したようなピアノ・ミュージックを聴く事が出来るが、この作品での演奏はそれに身体性を加味したようなプレイが目立つ。身体性に富む演奏を展開しながらも、それを統制する理知が常に見える素晴らしい演奏であると思う。
作品を通して、予めデザインされた部分とそれを血肉化する演奏行為のバランスが素晴しい。時として右のピアノがオートマティックなスケールアドリブや必要以上に大袈裟な打鍵などを安易に選択しまう瞬間、あるいは大家模倣的なあまり前向きといえないようなデザインの曲などもあるが、この作品全体を統合する音楽デザインが目指したものの素晴しさと比するとそれも些事に思える。特に、三宅榛名のこの作品から感じられる音楽家としてのあり方は本当に素晴しい。